@phdthesis{oai:iwate-u.repo.nii.ac.jp:00010409, author = {渡辺, 剛}, month = {}, note = {近年,有機薄膜トランジスタや有機薄膜太陽電池等の有機デバイスの開発に注目が寄せられている。有機デバイスの特性は,有機半導体層の結晶配向や組織,結晶構造などに依存することが知られている。真空蒸着膜の場合,核形成とその後の成長過程において,得られる多結晶薄膜の結晶性が決定される。したがって,核形成過程を含む薄膜形成初期過程を詳細に調べることは,有機デバイスの特性を制御するために重要である。本研究では,有機半導体薄膜の形成過程を明らかにすることを目的とし,真空蒸着をしながらX線回折測定が可能な蒸着装置を開発することにより,2次元検出器を用いたすれすれ入射X線回折法(2D-GIXD)測定により有機半導体薄膜の形成過程のリアルタイム観測を行った。さらに,電気測定とX線回折の同時測定を実現するとともに,蒸発源を2元化することにより有機pn半導体の2源蒸着のリアルタイム観測をおこなった。さらに,観測された2D-GIXD パターンから,格子定数,空間群,単位格子内の原子座標を決定する手法を確立した。このことによって,有機薄膜の新たな結晶構造解析法を開発した。本論文は全9 章で構成されている。第1章と第2 章では,本研究でおこなった実験手法や基本原理について,第3〜5章では成膜条件や分子構造の違いが薄膜成長や結晶構造に及ぼす効果について述べた。この中で,ペンタセン薄膜形成過程の基板温度依存性に関し,基板温度の違いが膜形成過程や結晶構造に及ぼす効果を詳細に明らかにした。第4章と第5章では,有機薄膜の成長機構や結晶構造に及ぼすアルキル基導入の効果を明らかにした。第4章では,これまで構造解析がされていなかったα,ω-Hexyl-distyryl- bithiophen(DH-DS2T)薄膜の結晶構造を多結晶の2D-GIXDパターンから解明することに成功した。第5章では,チオフェン系有機半導体の(distyryl-oligothiophene:DS2T)とDS2T にアルキル基を導入したDH-DS2T の薄膜形成過程の研究が記載されている。第6章では,2種類の有機半導体材料を共蒸着したときの薄膜形成過程や形成される結晶構造の詳細を明らかにした。本研究では有機半導体の混合膜としてペンタセンとフッ素化ペンタセンの共蒸着膜に着目し,組成比や基板温度の違いによって変化する共蒸着膜の形成過程や相挙動の全体像を解明した。さらに,この知見をもとに有機薄膜太陽電池や有機両極性トランジスタを作製し,これらデバイスの特性と相挙動との相関関係を初めて明らかにした。さらに,第7章では,有機薄膜トランジスタの形成過程のリアルタイムX 線回折測定の研究結果が示され,ソースドレイン電極間で有機半導体の膜厚の増加にともなう電気特性変化の計測に成功したことが示されている。第8章では,電圧の印加中に有機と絶縁物の界面で形成されている電子状態を硬X線電子分光法によって明らかにした研究結果が示されている。第9 章は本論文の総括であり,本研究で得られた結果がまとめられている。}, school = {岩手大学}, title = {放射光X線による有機半導体薄膜の構造と物性に関する研究}, year = {2014} }