@article{oai:iwate-u.repo.nii.ac.jp:00010598, author = {主濱, 祐二}, journal = {岩手大学英語教育論集}, month = {Mar}, note = {本稿では,日本語のモダリティを表わすー形式である法助辞の統語的特徴につ いて, 日英語のテキストの調査に基づく記述的な観点,また生成文法理論の枠組 みによる理論的な観点の両面から考察する。具体的には,法助辞「ダロウ」を取 り上げ,その統語的特徴の分析を試みる。(1)に,小説等から集めた「ダロウ」の 用例を示す。 (1) a.言葉の羅列にしか捉えられなかったに違いなかっただろうけれど、・・・ b.おそらくそうしたニュアンスをもつだろう作品として、・・・ c.「大坂でも,諸国の牢人衆へ,手をまわしているらしいな」 「……だろうな,大きな声ではいえねえが,徳川様だって,・・・」 (小説等からの抜粋,下線部は筆者による) 一般に,文の意味は,文が描写する状態や行為などの「命題」を表す部分と, 命題に意味的な増減は与えずに,それに対する話し手の心的態度(判断,推測, 聞き手への伝え方など)を表す部分に分けられると考えられており,(益岡1991, 中右1994など),特に後者を表す文法形式をモダリティ(あるいはムード)と呼 ぶことがある。日本語には,(2)に示すように,少なくとも3種類のモダリティ 形式があることが知られている。 (2) a.述語の活用形―――ル形とタ形 b.ル形・タ形に続く助動詞的表現 c.終助詞(カ,ヨ,ネ,など),陳述副調(絶対,きっと,多分,など)など (加藤・福地1989:113) 本稿で取り上げる「ダロウ」は, (l)aの「違いなかっただろう」およびbの「ニ ュアンスをもつだろう」からも明らかなように, (2)bの「ル形・タ形に続く助動詞的表現」に分類される。(2)bには,「ダロウ」の他に,「ハズ(ダ)」「カモシレナイ」「マイ」などがある。本稿ではこの分類に属する「ダロウ」を中心に議論を 進めるが,「ダロウ」と文法的な関係の強い(2)cの陳述副詞にも言及する。 (2)aのル形とタ形については,「(親が子供に)いつまでも遊んでないで,早く 片付ける」「(店員が客に) 3パックで千円だよ,さあ買った買った」のような例 があると思われる。また, (2)cの終助詞も,統語論の観点から最近注目を集めて おり(遠藤2010など),非常に興味深い研究対象であるが,本稿ではこれらは扱 わず,稿を改めて論ずることにする。 本稿の構成は,次の通りである。第2節では,日本語のテキストに現れる「ダ ロウ」の調査をもとに,それが生起する統語環境について観察し,また英語訳と の比較も行う。第3節では,生成文法の枠組みで「ダロウ」を統語論的に分析し, その構造を示す。第4節では,本稿の考察をまとめ,今後の課題について述べる。}, pages = {10--23}, title = {日本語の法助辞「ダロウ」の統語的特徴 : モダリティの統語論のために}, volume = {15}, year = {2013} }