{"created":"2023-05-15T12:05:52.319982+00:00","id":10613,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"980531e8-fef8-4fd8-9e9b-675c1348b8bf"},"_deposit":{"created_by":3,"id":"10613","owners":[3],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"10613"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:iwate-u.repo.nii.ac.jp:00010613","sets":["1523:1528:1533:1546"]},"author_link":["64894"],"item_41_biblio_info_7":{"attribute_name":"書誌情報","attribute_value_mlt":[{"bibliographicIssueDates":{"bibliographicIssueDate":"2011-03-23","bibliographicIssueDateType":"Issued"},"bibliographicPageEnd":"112","bibliographicPageStart":"98","bibliographicVolumeNumber":"13","bibliographic_titles":[{"bibliographic_title":"岩手大学英語教育論集"}]}]},"item_41_date_6":{"attribute_name":"登録日","attribute_value_mlt":[{"subitem_date_issued_datetime":"2013-11-25"}]},"item_41_description_12":{"attribute_name":"Abstract","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"シェイクスピアの『テンペスト』はさる無人島に設定されている。旧ミラノ大\n公である魔術師プロスペローとその娘ミランダは、難破した船を逃れてこの島に\n上陸する。上陸した二人は、やがてそこで、妖精や蛮人やかつての仇敵たちが複\n雑に絡みあう不思議な世界を体験する。その終わり近くで、恋人と無事結ぼれる\nことになったミランダは、思いを込めて次のようにいう。\nO,wonder!\nHow many goodly creatures are there here!\nHow beauteous mankind is! O brave new world,\nThat has such people in’t! (Act 5,sc. 1)\nアメリカの文化や文学を学ぶ際の必読書として、レオ・マークスの『楽園と機械文明』がある。この本でマークスが試みるのは、パストラル(牧歌)という西\n欧伝統の詩の型式を通して、アメリカの文化や文学の特質を理解することである。\nパストラルとは、基本的に、羊飼いの平和で幸福な緑の世界を意味する。マーク\nスは、この型式を援用して論を展開する過程で、上記シェイクスピアの『テンペ\nスト』に言及する。理由は、この作品もまた伝統的パストラルの構造を内包する\nと考えられるからであり、しかもミランダが口にする「すばらしい新世界(brave\nnew world)」ということばには、新たに発見された「新世界」としてのアメリ\nカの姿が重なるからである。\n『テンペスト』は1611年に書かれたとされている。当時、新世界アメリカは、\nイギリスの大衆の関心事であったという。じっさい、4年前の1607年には、新\n世界バージニアのジェームズタウンにイギリス最初の植民地が建設され、それを\n報告する本も出版されている。その2年後の1609年には、新世界を目指したイ\nギリスの船がバミューダ近海で遭難するという海難事故があり、その報告書も広\nく読まれていたという。報告書の作者の一人と、シェイクスピアは、親しい関係\nにあったともいう。このころの観客の関心は、魔術や権力闘争や新世界にあった\nというが、シェイクスピアはこの作品に、そのうちの一つである新世界を盛り込んだことになる。社会の状況や過去や現在の現実への広く深い目配り――シェイ\nクスピアは「百万の心(myriad-minded)」を持つとされるが、ミランダの「新\n世界」は、そのーつということになる。\n時代を下って、新世界アメリカで、19世紀中ごろ、「第二のシェイクスピア」(ブ\nライアント『メルヴィル研究必携』)と呼ばれる作家が生まれる。ハーマン・メル\nヴィル(1819-1891) である。代表作『モウビィ・ディック』(1851) は、巨鯨\nに脚を食いちぎられた隻脚の船長が、復讐のためにその鯨を追う物語である。こ\nれを語るのは、捕鯨船の乗組員としてこの船長と生活を共にした青年イシュメイ\nルである。巨大な鯨との壮絶な闘いの唯一の生き残りであるこの青年は、作品冒\n頭で、海に出るときの自分の思いを詳細に語る。海に出るのは、自殺を避けるた\nめであり、水に向かうのは人間の本性であり、海には、人を惹きつけて止まない\n魔法のような力が潜むこと―――これらについて雄弁に語る。その際イシュメイル\nは、海に出る自分の行動を、「運命」という舞台監督が司る「出し物」として眺め\nる。そして、そのプログラムは、こうなるはずだという。\n'Grand Contested Election for the Presidency of the United States.'\n'WHALING VOYAGE BY ONE ISHMAEL.'\n'BLOODY BATTLE IN AFGANISTAN.' (Ch.1)\nイシュメイルのことばは、ユーモアにあふれている。荒唐無稽なふざけた話しのようにも思われる。舞台監督としての「運命」は、さながら魔法を操る魔術師\nプロスペローのようでもある。しかし、2番目のプログアム「イシュメイルの捕\n鯨航海」を挟んだ前後二つのプログラムは、じつは、作家メルヴィルを取り巻く\n現実の歴史の反映と見ることができる。『モヴビィ・ディック』の出版は1851年\nであるが、そう遠くない過去である1840年には、ホイッグ党候補ハリソンと民\n主党候補ヴァン・ビューレンの間で、国を二分する激しい大統領選挙が闘われて\nいる。また、2年度の1842年1月には、アフガニスタンのカブールで、イギリ\nス兵が虐殺されるという悲劇的事件が起きている。すなわち、イシュメイルが海\nに出たのは、この二つの出来事(プログラム)の中間の1841年頃ということに\nなる。ところがメルヴィルは、1841年1月 3日、捕鯨船アクシュネット号で現\n実に海に出ている。本家のシェイクスピアと同様、新世界の「第二のシェイクス\nピア」も、身の回りの現実をさりげなく作品に取り込んでいるのである。\n シェイクスピアやメルヴィルのこのような姿勢は、社会の状祝や歴史の現実を\n客観的に眺める視点という意味で、社会的観点、あるいは史的感覚ということば\nで捉えることができるかもしれない。しかしこのような観点、あるいは感覚は、\nより具体的に、どのような特徴をもち、どのような背景をもつものなのであろう\nか。とりわけメルヴィルの場合はどうか。","subitem_description_type":"Other"}]},"item_41_identifier_registration":{"attribute_name":"ID登録","attribute_value_mlt":[{"subitem_identifier_reg_text":"10.15113/00010607","subitem_identifier_reg_type":"JaLC"}]},"item_41_publisher_14":{"attribute_name":"出版者","attribute_value_mlt":[{"subitem_publisher":"岩手大学教育学部英語教育科"}]},"item_41_source_id_25":{"attribute_name":"NCID","attribute_value_mlt":[{"subitem_source_identifier":"AA11362676","subitem_source_identifier_type":"NCID"}]},"item_41_source_id_9":{"attribute_name":"ISSN","attribute_value_mlt":[{"subitem_source_identifier":"1344-7807","subitem_source_identifier_type":"ISSN"}]},"item_41_text_4":{"attribute_name":"著者(機関)","attribute_value_mlt":[{"subitem_text_value":"岩手大学"}]},"item_41_version_type_27":{"attribute_name":"著者版フラグ","attribute_value_mlt":[{"subitem_version_resource":"http://purl.org/coar/version/c_970fb48d4fbd8a85","subitem_version_type":"VoR"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"星野, 勝利"}],"nameIdentifiers":[{}]}]},"item_files":{"attribute_name":"ファイル情報","attribute_type":"file","attribute_value_mlt":[{"accessrole":"open_date","date":[{"dateType":"Available","dateValue":"2016-11-14"}],"displaytype":"detail","filename":"beeiu-v13p98-112.pdf","filesize":[{"value":"650.6 kB"}],"format":"application/pdf","licensetype":"license_note","mimetype":"application/pdf","url":{"label":"beeiu-v13p98-112.pdf","url":"https://iwate-u.repo.nii.ac.jp/record/10613/files/beeiu-v13p98-112.pdf"},"version_id":"886f6d6b-e949-4f65-9201-2b0e9b9486f1"}]},"item_language":{"attribute_name":"言語","attribute_value_mlt":[{"subitem_language":"jpn"}]},"item_resource_type":{"attribute_name":"資源タイプ","attribute_value_mlt":[{"resourcetype":"departmental bulletin paper","resourceuri":"http://purl.org/coar/resource_type/c_6501"}]},"item_title":"高貴の系譜 : メルヴィルの史的感覚とその背景","item_titles":{"attribute_name":"タイトル","attribute_value_mlt":[{"subitem_title":"高貴の系譜 : メルヴィルの史的感覚とその背景"}]},"item_type_id":"41","owner":"3","path":["1546"],"pubdate":{"attribute_name":"公開日","attribute_value":"2013-11-25"},"publish_date":"2013-11-25","publish_status":"0","recid":"10613","relation_version_is_last":true,"title":["高貴の系譜 : メルヴィルの史的感覚とその背景"],"weko_creator_id":"3","weko_shared_id":3},"updated":"2023-05-15T13:58:04.003014+00:00"}