@article{oai:iwate-u.repo.nii.ac.jp:00010614, author = {境野, 直樹}, journal = {岩手大学英語教育論集}, month = {Mar}, note = {William Shakespeare (1564-1616)の作品の成立年代については、そもそもその 「成立」のありかた-‘authorship’ のありよう-からすでに、確実なことはわか っていない。上演用の台本が、当時の版本と同じであったか、それとも異なって いたか、版本は執筆者の意図にどの程度忠実であったのか、検閲制度の介入や写 字生、印刷所の仕事の信頼度など、気になり出せばきりがない。“Shakespeare cannot be approached directly;he has been modified by his own after-history" 『お気に召すまま』(As You Like It)についても、こうした事情は変わらない。 それどころかこの作品の成立/受容史は、その超源の不確かさにおいて、際だった 特徴を有している。作者生前の上演記録の不在、生前の版本の不在、出版遅延を めぐる謎-英国におけるこの劇の最初の上演記録は、作者の死後じつに120年余 りを経たものである。それは近代的な屋内劇場での上演であり、騒然たる立ち見 の群衆ひしめくシェイクスピアの時代の青空天井の円形の劇場とはあきらかに異 質な演劇の空間だったはずだ。「騒然」と書いたが、観客のマナー以上に上演にと って不都合なのは、劇場の音響条件である。エリザベス時代の平戸間の「聴衆」 は、18世紀の-おそらくはかなり洗練された屋内劇場の-「観客」と違って、 響的にかなり不利な条件下で観劇していたはずである。トマス・ライマー (Thomas Rymer)によれば、18世紀の劇場には「聴衆」と「観客」が混在して いた。つまり、観劇のありようそのものが、あるいは時代の求める芝居の価値 基準が、変容しつつあった時代といってよいだろう。それはまた、台詞と演技が 乖離してゆく経験、そしてその事離を積極的に演劇の効果に組み入れてゆくこと が模索された時代だったとも考えられるだろう。本稿は、『お気に召すまま』の演 劇的要素について、現存する最古の上演記録である1740年の時点でそれらがすで に少なからず改変され「近代化」されていた事実を確認し、このテクストを「復 元」することの困難さについて、主として挿入歌をめぐる問題を指摘することを 通じて論じてみたい。}, pages = {113--128}, title = {The Song Remains the Same? : As You Like Itの挿入歌をめぐる考察}, volume = {13}, year = {2011} }