@article{oai:iwate-u.repo.nii.ac.jp:00010660, author = {名越, 利幸}, journal = {岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要, The journal of Clinical Research Center for Child Development and Educational Practices}, month = {Mar}, note = {気象の学習は、理科の学習の中でも最も実生活に密接に関わっている内容であり、生活体験を重視した内容を含むべきである。また、気象現象を学習する上で、気象現象に関する情報を得ることは大変重要なことであり、生徒自らが気象観測を直接体験することが望ましい。すなわち、郷土の自然環境を野外調査することにより、実生活で得られた生徒の興味・関心と学習内容とが一致すると考える。  一方、現在の学校教育における気象の学習は、その系統化のよりどころが学問体系であるために、気象学の体系を単にやさしくしただけの内容が羅列されている。すなわち、地球物理学の一部である大気物理学として気象学をとらえ、物理学的視点で学習内容が構成されている。この点で、実生活と結び付いた学習内容とは言えないと浦野ら(1990)は主張している。また、改訂された現行学習指導要領(1999)では、小学校においてこの点に関する改善の方向が示された。すなわち、気象情報が多く取り入れられ、日常生活にそった内容へと改変されている。新学習指導要領(2008)でも、この方向性は同様である。  また、これまで気象の観測と言えば、「百葉箱」に代表されるように気象官署の観測と同様の定点での継続観測と見なされ易かった。しかし、ここで取り上げる気象観測とは、ある特定の地域で、ある特定の期間、ある特定の気象現象の特性を調査するための「研究調査観測」をさす。野外での気象観測は、学校の教科時間内で行おうとすると、小学校学習指導要領にあるように、その観測範囲が校庭などのごく狭い範囲(微気象スケール)に限られてしまう。そこでの気象現象は時間変化のスケールが1秒以下と大変短いために、従来教科書に掲載されているアルコール温度計などの測器の精度では、気象現象をとらえることはむずかしい。そこで、本研究では、より観測範囲の広い、局地気象のスケール(学区域・行政区域の水平スケール)を対象とし、従来の測器で十分測定することができる現象を調査することを考えた。  なお、気象観測指導の問題点とその改善についての方策として、小学校を対象に島貫ら(1981)が、観測を行う上での基本的な内容・教師の姿勢を提案している。しかし、その具体的な授業実践は、報告されていない。また、山本(1985)は、観測の実践結果を示し気象観測の重要性を主張しているが、その気象観測の手順などの詳細な報告はない。下村他(2002)は、岐阜気象台が市の教育委員会と共同して行っているプロジェクト「e気象台」の運営にあたり、研究調査観測の方法を学校の教員に周知することが必要であると言っている。さらに、NASAを中心とする環境教育の国際プロジェクト「グローブ」(名越1998)においても、ヒートアイランドなどを研究調査する方法について、その具体的な方法論の開発が求められている。この様な社会の要請に答えるべく局地気象現象を対象とした研究調査観測の実施マニュアルの開発が強く望まれている。しかし、通常の野外学習と異なり,雲などをのぞいて大気は目に見えず、測器の精度の信頼性やデータ処理の仕方など多くの障害があり、この観測実施マニュアルの開発研究は皆無である。  学校教育の一環として、気象調査を目的とした共同観測を実施する意義は大きい。しかし、現実の授業では、実施するにあたって何を目的に、どの様な方法や手順で行えば良いのかわからないため、実施計画がたてられない。あるいは、観測してみたが、得られた観測データーが現象について明確なことが言えるだけの信頼性のあるものかどうか判定できない、そのために何が発見・理解できたのかわかりにくい等の問題点があげられた。  そこで、今回、筆者は過去に行った共同観測の経験の中から実施上の問題点の把握を行い、その対応策を試行錯誤しながら、局地気象現象を対象とする共同観測を複数実施してきた。その実践の経験を基に、中学生のグループによる局地気象観測の実施手順の作成を試みたので報告する。, Based on some practice research for junior high school students,we developed a teaching manual for observation on local meteorology.This manual was made into the flow chart.If this procedureis followed, we can investigate the meteorological phenomenonof the area in which students live. On the other hand, wefound out that the scale of the “local meteorology” was a scale ofthe meteorological phenomenon optimal to practice research for ajunior high school student. On this scale for which the dynamiceffect of the earth rotation can be neglected, students can usemeasurement instruments currently used in the experiment ofevery day science. As typical phenomena of this scale, there are aheat island, a land-and-sea breeze, a mountain-and-valley wind,etc. Since this meteorological phenomenon reflects the geographicalfeature of an area, it is highly possible that the geographicaleffect appears in every area in Japan. The existence of a cool islandaround the Imperial Palace has been discovered from theeducational practice by the students in Chiyoda ward using thismanual.}, pages = {89--97}, title = {局地気象の共同観測に関する指導マニュアルの開発}, volume = {8}, year = {2009} }