@article{oai:iwate-u.repo.nii.ac.jp:00011278, author = {清水, 将}, journal = {岩手大学教育学部研究年報}, month = {Mar}, note = {小学校学習指導要領では、球技を扱うゲーム・ボール運動の領域において、中学年以降、ゴール型、ネット型、ベースボール型の3つの型に球技が分類されている。現行の2008年告示の学習指導要領では、指導内容の明確化と系統性を大切にした「体系化」が図られており、型による分類は、攻守の特徴や型に共通する動きを系統的に身につけさせるという球技に関する国際的な研究動向が大きく影響しているといわれている。  岩田(2010)によれば、「理解のためのゲーム指導」理論(以下TGfU=Teaching Games for Understanding)は、ソープら(1986)によって、「ゲーム修正」(modification of games)の論理が示され、発達適合的再現(Representation)と誇張(Exaggeration)の主要な2つの視点が描かれた図が提示されている(図1)。図における「Aフルゲーム」は、「すべての固有な技術や戦術を備えた、大人によってプレイされるゲーム」のことであり、「既存の種目」と表現されるものを指すが、岩田は、複雑で高度すぎる大人向けのゲームを「子どもが技術的・身体的に未熟なために遭遇する問題を軽減」していくことが必要であり、発達段階に即したプレイが展開できるゲームにする必要があることを指摘している。図のBの方向で示されている発達適合的再現で示されるこのようなゲームにおいては、ゲームの戦術的な複雑さは解消されていないため、「問題となる戦術的課題を誇張する修正」が不可欠となる。図のCの方向で示されるようにゲーム状況の判断の対象を焦点化したり、選択肢を減少させることで、課題を明確にしてはじめて「子どもにとってやさしく、わかりやすいゲーム」を創出することができるのである。  体育は他の教科とは異なり、教科書がないことに特徴がある。したがって、内容を含み持つ教材を開発し、教材によって内容を身に付けさせる教師の営みが不可欠となる。とりわけゲーム・ボール運動・球技の領域に関しては十分な教材化がなされず、素材としてのスポーツ競技を「文化的」に学習するだけに留まっている状況も散見される。このような状況を打破するために登場したTGfUの理論であるが、現実的に有効な教材の提示が少なく、最初の理論的検討以降の発展が停滞しているという指摘もあり、有効な実践及び教材の開発が課題とされている。本稿では、ゲーム・ボール運動の指導プログラムとして多くの国で採用されているTGfUの現在までの動向を概観し、次世代を見据えた教育方法や身に付けさせるべき学力・資質能力の形成にTGfUに基づく学習がどのように貢献できるのかについて批判的検討をおこなうことを目的とする。小学校学習指導要領においては、ゲーム・ボール運動としてボールゲーム・球技を扱う領域の名称が用いられているが、本稿ではこれらのボールを用いるゲームを球技と呼ぶことにする。}, pages = {17--30}, title = {ゲーム・ボール運動の学習理論に関する基礎的検討 : 21世紀型能力を育成する球技指導プログラムのあり方を考える}, volume = {75}, year = {2016} }