@article{oai:iwate-u.repo.nii.ac.jp:00012659, author = {渡瀬, 典子}, journal = {東北家庭科教育研究}, month = {Jun}, note = {今世紀に入り,生活関連の様々な施策で新自由主義を標榜する変化が現れている。例えば消費者政策では,平成16(2004)年に「消費者保護基本法」の「保護」の文字を取った名称である「消費者基本法」が成立した。この名が示すように,「消費者基本法」の基本理念が消費者の「保護」から「権利尊重」,「自立支援」に対し重心が置かれるようになった。同法第17条では,消費者が市場原理主義で競争志向的な経済体制の中で「情報弱者」にならないために,「学校,地域,家庭,職域その他の様々な場を通じて消費生活に関する教育を充実する」国・地方自治体の責務を明示した。すなわち、生涯に渡る消費者教育を受ける機会とシステムの提供が,国・自治体が保障するセーフティネットの一つになり,「消費者教育」の機能強化が明確化された,と理解できる。 この動きを受け,国民生活審議会の消費者政策部会では「『自立した消費者』をめざして」という理念と2つの大きな目標(①消費生活に関して自ら進んで必要な知識を習得し,必要な情報を収集するなど自主的かつ合理的に行動できる消費者の育成と支援,②消費生活に関して,環境の保全及び知的財産権などの適正な保護に配慮する消費者の育成と支援)に基づく「消費者教育の体系化」が検討された。また,同部会は国(文部科学省)の責務を根拠として,学校教育における消費者教育の推進を次期学習指導要領へいっそう盛り込むよう働きかけることを明言している。 消費生活に関する家庭科の目標は,1960年代から80年代に至る「消費者の権利」の拡大に伴い,「今日的な生産から消費,廃棄,環境までを見通すことのできる生活主体の形成」が目指されるようになった。この目標は,先に言及した消費者政策部会が提示した2つの大きな目標と重なる部分が多く,家庭科教育が「自立」と同時に「自律」できる消費者育成に,長年間わってきたことを示すものである。また,消費生活領域の年代ごとの授業実践の特徴について田結庄は,「1940・50年代は買い物教育,おこづかいの使い方,記帳が主」で,「1950年代の終わりから60年代にかけて、商品のついている表示とマークの授業が多くなってきた」と,当時の教育実践記録から分析した。表示・マークに関する学習は,現在においても,商品・サービスの情報(扱いの注意,品質保証,補償内容,材料の特徴,等)を読み解くカの育成のため,家庭科の授業の中で取り上げられ続けている。マーク・表示をはじめとする様々な生活情報を学ぶ意味は,消費者自らの権利保護,生活向上に役立てる方策を知ることのほかに,生活者として他者の権利や環境保全を慮る経験を積むことにあるといえる。 また、国民生活審議会では各ライフステージ(「幼児期」「児童期(小学生)」「少年期(中学・高校生)」「成人期」「高齢期」)を縦軸に、4つの領域(「安全」「契約・取引」「情報」「環境」)に関する能力目標を横軸にとる「消費者教育の体系シート」を提案した。ここでも生活情報を活用する手立てとして,マークに関する学習で培うカが明示されている。初等・中等教育段階の「幼児期」から「少年期」について見ると,幼児期では他者からマークの情報を聞き,小学校では商品にマークがついていることに気づき,中・高等学校ではマークの意味が理解できる,という成長に応じた能力の育成が構想されている。「生涯にわたる」消費者教育という考え方を採るならば,学んだことが「成人期」,「高齢期」でも活用可能な力を初等・中等教育段階で定着させることが課題といえる。 そこで本研究では,家庭科教育の中で長きに渡り教材とされてきた生活情報の活用,とくに商品のマークに関する学習の扱いを概観するとともに(目的1),マークに関する学習の目的の一つでもある長期的に「日常生活で活用できる知識の定着」状況について現状と課題を検討する(目的2)。}, pages = {41--51}, title = {「生活情報の活用」におけるマークに関する学習の課題}, volume = {7}, year = {2008} }