@techreport{oai:iwate-u.repo.nii.ac.jp:00012985, author = {高橋, 宏一}, month = {Jan}, note = {1991年度教育研究学内特別経費研究報告, 周知のように南部曲家は旧南部藩特有の民家としてだけでなく,日本を代表する民家として名の知れた農村家屋である。しかし,他の地方の伝統的な農村家屋同様,現在はほとんどその姿を消し,山間部などの限られた地区にわずかに残る他は,博物館などでしか見られなくなってしまった。農村を取り巻く自然環境,人々の生産基盤,文化的背景などその土地の風土に根ざした独特な景観も今はほとんど見られない。しかし,その文化地理学的研究の意義が失われたわけではない。これまで南部曲家に関して多数の調査・研究等が行われてきたが,後述するようになぜ南部曲家がうまれたのか,南部曲家はどこに分布しているのか,南部曲家はどこでうまれどのように広がっていったのか,南部曲家にはどのような系統がありそれはどのような文化的意味を持っているのかなど,きわめて基本的な問いに十分に答えてはいないのが現状である。確かに,これらの問いに対し一応の説明はなされてはいるが,他人の説明の引用などである場合も多く,その際必ずしも元の資料や説明の内容についての十分の検討がなされているとは言えない。また,相互に矛盾するような説明も少なくない。それは上記の疑問が相互に関連し合っているため,最終的には体系的な研究の整理が必要と考えられるが,それがいまだなされていないことに最大の問題があると思われる。このことは,南部曲家を対象とする研究分野が地理学,建築学,民俗学など多岐にわたり,相互の交流が活発ではないことが一因かも知れない。また,研究者自身の関心が,一地方の民家そのものよりも他地方の民家も含めた相互関連の解明の方に重点があるためかも知れない。しかし,その場合でも特定の学問分野の枠内だけで解決するような問題ではないことは明らかである。民家の地理学的研究においては,フランスの地理学者J.ブリュ-ンが述べたようにl),①その民家がどこにあるか(地理的位置),② その民家がいかに造られてあるか(形態・構造),③その民家がどこまであるか(地理的分布),④その民家がどうなるだろうか(変化)という4つが基本的疑問であり,②と④の疑問においても単に形態・構造や変化に関心があるのではなく,①や③同様それらを空間的に捕らえる視点が重要であろう。そのためにも他分野の成果を十分に取り入れる必要がある。}, title = {南部曲家研究の展望と課題}, year = {1992} }