@article{oai:iwate-u.repo.nii.ac.jp:00013102, author = {奥野, 雅子}, journal = {Artes liberales}, month = {Jan}, note = {発達障がい児を抱える家族はその子どもが生まれてから様々な葛藤に遭遇している。親はその子の成長について最初に違和感をおぼえた後もその違和感を否認し続けることが少なくない。その子が第一子ではなく,第二子以上の場合でも,第一子と比較した成長の遅れは明確に感じるものの,許容できる個人差として捉えたいという思いを抱くのである。たとえば,子どもが2歳になってもなかなか言葉を発しなければ親は不安になる。もし祖父母にそのことを指摘されれば,親は自分の育て方が悪かったのではないかという罪悪感を経験してしまう。あるいは,小学校高学年になった子どもが次第に学校の勉強や対人関係についていけなくなると,勉強でいい成績を求めることを諦める替わりに,せめて友人関係はうまくやってほしいと願う。しかし,葛藤が深まる親は苦しくなり「うちの子はなんだかまだ幼い」という表現を用いてごく親しい友人に打ち明けることもある。そこで,専門家ではない友人は「そのうちきっと成長すると思う」と親の不安を緩和しようと励ましたりする。このように,親はその友人の言葉にすがる気持ちになり,ここでも自分の子どもは少し幼いだけで特に問題はないと自分に言い聞かせるのである。  そういった親の認知や感情は自然なものであるといえるだろう。一方,このような親の葛藤が通常の発達をしている子どもやその家族との交流を減少させていく要因にもなりうる。そして,明日になれば,明後日になれば子どもは変わってくれることを親は信じようとする。しかし,親が感じる子どもの発達への違和感はたいてい的を得ているものである。よって,こういった違和感を否認することはその子の発達を促すことにはならない。親が現実と向き合わないことが,その子どもや家族を含めた支援を受けるうえで障壁となってしまう。  発達障がい児を抱える家族は,家族以外の他者との関わりを回避あるいは限定する傾向がある(Paster, Brandwein & Walsh, 2009)。つまり,より狭いシステムの中で閉鎖的な状況を維持するという現象が起こってくる。実はこの行動は自分の子どもを外界から守ろうとするために行っているともいえるのである。このような問題を解決するためには,発達障がい児を抱える家族が子どもの状況を外に発信し家族の開放性を促進する介入が求められる。  本稿では,発達障がい児を抱える家族がより効果的な支援を受けるために,家族以外のシステムとどのようにつながっていくかについて理論的検討を加え,その家族の開放性を促進するための関わり方について考察を行う。}, pages = {17--27}, title = {発達障がい児を抱える家族システムの開放性についての一考察 : 他者との相互作用に着目して}, volume = {97}, year = {2016} }