@article{oai:iwate-u.repo.nii.ac.jp:00013111, author = {江原, 勝行}, journal = {アルテス リベラレス}, month = {Jun}, note = {憲法学の重要な基本的項辞の1つたる主権の概念は,一般的に,統治権,最高独立性,最高決定権という3つの意味を内包するものとして,さらに,国民主権の原理は,権力的契機と正当性の契機という2つの要素から構成されるものとして説明されている1)。この国民主権の原理に内包される2つの要素のうち,前者の要素が果たしうる実定法破壊的機能に対する危機感を背景に,主権の概念構成を―あくまでも認識レベルにおいてであるとされるが―「権力の正統性の所在」を表象する次元に還元し,「権力の実体の所在」を表象する概念としての主権の意義を否定する見解2)が存在することは,憲法学の領域において広く知られるところとなっている。 ところで,主権の概念が帰結しうる問題性は,国民主権の原理における権力的契機に着目した際の実定法破壊的機能に限定して認識されうるものではないであろう。とりわけ,個人・団体による諸活動が国民国家の境界を越えて国際的に展開される状態が著しく進行している現代にあっては,主権の概念における第2の意味に留意する必要があるように思われる。というのも,国民国家の境界を超越した配慮または責任の履行の埒外にあるものとしての国家の統治権の観念を正当化し,もって国際社会を分断する機能を果たすに至りうるからである。そして,このような国家主権の問題性は,国際社会が普遍的に共有しうる,法の支配や人権保障といった諸価値を基軸として既存の国際法秩序の観念を再構築し,国民国家の枠組みを超越した立憲的体制を模索する動向3)が見られる状況下において,かかる諸価値の国際レベルまたは地域レベルでの共有・実現という方向性への関心の下に,国家主権の最高独立性という属性の再検討を意識させざるをえないであろう。 本稿は,そのような国家主権の相対化という,国際法秩序に関する認識態様の1つとして提示される方向性が,国民国家の枠組みを超えた人権保障の実現という観点から,いかにして正当化されうるのか/正当化されえないのかという関心を背景に,国家の主権的平等の原則に立脚してきた国際法規範の国内法秩序における遵守義務のあり方に焦点を当てるものである。考察の具体的素材としては,かかる原則を理念とする国家の主権免除という慣習国際法規範の遵守を命じた国際司法裁判所判決に対し,自国の憲法的アイデンティティの擁護をもって対抗する合憲性審査を行ったイタリア憲法裁判所判決の意義・含意について検討することとする。}, pages = {55--80}, title = {イタリアにおける慣習国際法規範の遵守義務と合憲性審査 : 国家主権の制限に関する「対抗限界」論の新たな地平}, volume = {96}, year = {2015} }