@article{oai:iwate-u.repo.nii.ac.jp:00009024, author = {橋本, 良二 and 齋藤, 武史}, journal = {岩手大学農学部演習林報告}, month = {Jun}, note = {東日本大震災で,東北地方太平洋側の海岸林は大津波による物浬的破壊や塩害で壊滅的な被害をうけ,岩手県では県有防潮林(潮害防備保安林) 150haの80%以上が壊滅した(村井,2012)。しかし,津波被害を受けながらも,アカマツやクロマツなどの立木がさまざまな規模で相当数まとまって残っているところが少なくない。被災海岸林の再生は,全面人工植栽によりなされると見られるが,生残木のうち一定の環境保全機能が期待されるものについては伐らずに残すのが適当であろう。こうしたことから,生残木について,樹冠部枝葉の着生状態や葉色,また樹幹穿孔処理にともなう樹脂滲出量を通して,樹勢調査がおこなわれているが,“健全木と“瀕死木"の間に衰退程度の異なる“中間木"が存在し(高橋・星野,2012),今後の取扱いについて判断しがたいケースが多々生じている。 樹木の生理活動が何らかの理由で低下する場合,そこでは葉群のガス交換が抑制され,光合成とともに蒸散の低下が起きている(Kramer and Kozlowski,1979)。蒸散量の低下は根の吸水量の低下と連動し,樹体木部組織における水輸送の低下をともなうことから,樹幹における樹液流の測定を通して,樹木の生理状態の判定が可能である。しかし,樹液流の測定は,計器類の設置に手間がかかり,そもそも短期間に多くの立木を調査するような用途には向かない面がある。樹液流の測定は,古くから木部通水組織における熱パルスの移動を測定・解析する方法でおこなわれているが(Swanson,1994; Lu et al., 2004),ヒーターエレメントや温度プロープを木部組織に挿入しておこなうことから,組織における傷の発生癒合,樹脂の滲出・固化などが理由で,設置後数日は測定値が不安定で,信頼できる測定値を得るのに相当日数を要するとされている。 最近,温度上昇率法(HRM) を採用した樹液流計測器(SFM-1,ICT Inc.,Australia)が市販され使用されているが(竹内ら,2012),本器は従来の測器に比べて,ヒーターエレメントや温度プロープの小径化がなされている。こうした小径化は,組織に対するダメージを軽減することから,設置後早い段階で信頼できる測定値が得られる可能性がある。本研究では,本器設置後即日あるいは1両日程度で樹液流の測定ができるかどうかについて検討した。また,樹液流が低下する夜間の低速度値に注目し,夜間における水分生理過程の分析に使用できるかどうかについて検討した。}, pages = {119--125}, title = {津波被害を受けた海岸マツ生残木の樹勢判定―樹液流測器の実用性の検討―}, volume = {44}, year = {2013} }