@phdthesis{oai:iwate-u.repo.nii.ac.jp:00009549, author = {YAMAMOTO, Kazunori and 山本, 和範}, month = {}, note = {・エンドポリガラクツロナーゼ1(endo-PG1)反応機構解明を目指した基質アナログの合成研究 近年、オリゴガラクツロン酸は健康食品などで注目を浴び、その効率的生産は産業上重要な課題のひとつである。 著者は、リンゴ銀葉病菌 Stereum purpureum が生産するペクチン分解酵素endo-PG1の結晶がきわめて分解能の高いX線回折像を与えることを利用し、 本酵素の原子レベルでの機能を解明、オリゴガラクツロン酸の工業的生産に応用することを目標に研究を行った。 endo-PG1結晶への天然オリゴ糖のソーキング実験では、結晶中で酵素本来の性質により加水分解を受け、 反応初期状態の複合体イメージを得ることができない。 そこで、酵素反応に耐性、かつできるだけ天然基質の構造を保存した人工基質を合成し、 ソーキング実験などに用いることで、機構解明に役立てることとした。 本酵素を用いた生化学実験より、基質としての最小基質は3量体であり、その場合中央のガラクツロン酸部分が -1 subsiteに 選択的に結合することがわかっている。 そこで1で示した硫黄置換誘導体の合成を行った。 表面プラズモン分析により、合成した1は天然基質と比較して1000倍安定な酵素-基質アナログ複合体を形成した。 また、比較基準としてメチルグリコシド2の合成を行った。 NOE実験と分子軌道計算から、1と2は類似した立体配座をとることを明らかにした。 アナログ1は、酵素と複合体を形成した直後、即ち酵素反応初期状態を再現すると考えている。 酵素反応を検討するには、反応遷移状態における複合体全体の構造を検討することが重要である。 著者は推定する反応遷移状態構造を安定化したモデル3の合成を行った。 3の中央部は、酵素の-1サブサイトに結合した半いす型に歪んだピラノース環を安定に再現させるため、シクロヘキセン構造を導入した。 今後、合成した3と酵素との複合体形成について、共同研究者とともに熱力学的手法を用いて検討する予定である。・セルラーゼ反応機構解明を目指した基質アナログの合成研究 木材などに広く分布するセルロースからグルコースを経由したエタノール製造は、 トウモロコシなどの可食材と競争することがないために理想的なエタノール製造法となる。 著者は、セルラーゼの高機能化に向けた反応機構解明のための分子プローブの開発を目標に研究を行った。 本研究では、Humicola insolens 由来のendoglucanase Vを用いて、エンド型セルラーゼ反応機構の解明を行った。 本酵素の基質最小単位は3量体であることがわかっており、セロトリオースアナログを合成の標的とした。 また、本研究では熱化学分析等を計画しているが、還元末端のアノメリ化により議論が複雑になるのを避けるため、 還元末端はメチルグリコシドとして固定した。 まず、還元末端側グリコシド結合の酸素原子を硫黄原子に置換したアナログ4の合成を行った。 4はチオグリコシドとすることで、酵素耐性を実現できると期待したが、endoglucanase Vは4を全く認識しなかった。 そこで、3と同様に、反応部位に相当する中央部ピラノース環を、 推定する反応遷移状態構造をミミックするようシクロヘキセン構造とした5を合成した。 合成した5は予想通りendoglucanase Vと複合体を形成した。 共同研究者にカロリメトリー実験を依頼し、その結合定数が50mol-1L-1であると決定した。 これらの結果はシクロヘキセン構造の導入の効果を明らかにしたものと言える。}, school = {岩手大学}, title = {Syntheses of Oligosaccharide Analogues as Molecular Probes for Mechanistic Investigation of Endoglycosidases}, year = {2009} }